フリースコーラ(friskola)(2006.11.15)

日本では、高校の履修問題、いじめ問題、教育基本法改正(←内容自体は全然把握していないのですが)・・・と「教育」に関する話題が多いようですが、スウェーデンからも「フリースコーラ」について。

定義は、「市や県が直接は管轄しない、即ち『所有者』がいる(従って『私立』の)学校」です。

最近は、保育園、幼稚園(プレスクール)、初等教育学校(いわゆる『小中学校』で1-3年、4-6年、7-9年とさらに分かれている)、中等教育学校(いわゆる『高校』)、そして特殊教育学校の全てのカテゴリーで、多くのフリースコーラが存在します。

大抵のフリースコーラには「市立」とは一線を画そうとする「特色」がありますが、夫が現在勤めるフリースコーラ(高校)は、各学年1クラスだけ、「宇宙科学技術及び関連科目」を必須科目として「特化」するよう意図されて創られました。

この学校、スウェーデン国内でも人気が高く国内あちこちから生徒さんが集まってきていますが、従って入学基準が高いようです。スウェーデンには(大学であっても)「入試」というものがありません。ただ、その代わりに「内申書」みたいなものはあって7-9年時の成績がトップクラスでないと、この高校への入学は難しいようです。

スウェーデンには表立って「飛び級制度」はないですが、この学校には既に「高校数学」を3年生になるまでに終えた生徒さんが少なくなく、「大学数学」の授業を大学で受けて履修修了のためのテストにも合格して、あとは大学に入ってから「認定・履修修了」を待っている生徒もいるようです(注:スウェーデンでは「(スウェーデンの)高校教育課程修了証」がないと大学学部には正式入学できないのです)。

ところで、「宇宙科学技術及び関連科目」ですが、
「宇宙科学・技術の基礎知識」 →講師は大学から招いています
「宇宙科学・技術に使う電子回路の基礎、ソフトウェア実習」 →大学のラボを借りて行われています
「気球もしくは(低高度)ロケットを使った学生実験」 →スウェーデン宇宙公社・キルナ支部と提携
「学外実習(例えば、天文台における天体観測など)」 →自前の天文台有り
となっています。

夫は、元々気球を使った実験に従事し(→彼の博士論文テーマ)、大学でも気球を使った学生実験の指導をやっていたので、この高校でも春に行われる予定の、気球を使った「高校生による」実験の監督・指導を担当しています。ただ、今は一般科目(数学・物理)の教職がメインですが。

「学外実習」と言えば、12月にようやくスウェーデンの「宇宙飛行士」アーネ クリステール フーグレサング(Arne Christer Fuglesang)がスペースシャトルに搭乗、国際宇宙ステーション(ISS)に行きます。そのISSからフーグレサング宇宙飛行士と、地上ではキルナにあるこの高校の生徒達がディスカッションをする予定らしいです。何と、時間は朝の3-4時台なのですけれど・・・

夫の話だと、生徒さん達、さすがに「宇宙フリーク」なだけあって、既に今からこの日が来るのを一日千秋の思いで待っていて凄く興奮しているらしいです。夫は、メイン会場が勝手知っている研究所の講堂を予定しているため、生徒達に同行しなければならないそうです。ご苦労様です(^^;)。

・・・と、ここまでの話はあくまで、一つのフリースコーラの例。「スウェーデンにはこんな学校もあるんです」の話でした。


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