シェルケヴァッゲ(Kärkevagge)-家族・日帰り山ハイキング, 2011-08-13

*2011年8月13日(土), 06:40-20:40
*6時40分、キルナ駅前からナルヴィーク(Narvik)行きバスに乗車。起床は5時だったのでさすがに眠かった・・・。
*E10をノルウェーに向けてひた走るバスは、途中アビスコ(Abisko)ビョルクリーデン(Björkliden)で定員(60人)を超える乗客をピックアップ。
*8時20分頃、ロクタショッカ(Låktatjåkka)に到着。そこからシェルケヴァッゲに向かう。目的は、シェルケヴァッゲの行き止まりにある、トロールフェーン(Trollsjön)。そこまで片道4km強。往復を子供達が歩き通せるか、ちょっと心配ではありました。


ロクタショッカ(Låktatjåkka)からシェルケヴァッゲに向かう

E10からすぐにロクタショッカに向かう山歩道に入ります。子供達は最初からハイペース。そのペースがどこまで保つかが凄く心配でした。
ビョルクリーデンから乗車してきた、ドイツ人ハイカー達(スウェーデン人ガイド付き)はロクタショッカ山(写真左方向、写真中手前の山はシェルケチョーロ山)に向かいました。彼らはロクタショッカ山を経て、ビョルクリーデンに戻る約15kmのトレッキングをするものと思われます。
そして、私達はシェルケヴァッゲの方に向かいます。ちなみに、ヴァッゲとはサーメ語で「谷」の意味です。
途中の山トレイルから、E10とロクタショッカ駅の方を臨みます。写真中の白い四角っぽいのが駅舎です。ちなみに無人駅で普通の電車はここには停車しません。奥の山並はノルウェー側です。
谷の合間は、氷河時代の堆積物の名残りが伺えます。堆積丘に混じって山崩れ(もちろん、有史以前のことです:笑)の名残りも見られます。
視線を谷の奥行きの方に転じると、こんな感じ。白っぽく霞んでいるのが行き当たりの山で、その下にトロールフェーンが横たわっています。谷側の方は写真の通り、崩れ落ちてきた岩や氷河時代の堆積物で、谷のほとんどは埋まったような状態です。
私達はシェルケチョーロの西側を谷の行き止まり(=トロールフェーン)目指して、ひた歩きます。この時点でも子供達はまだ元気!娘は歩くペースの配分がうまく、息子はひたすら走ったり、適当な丘を登ったりと、じっとしていられないようですが、それだけのエネルギーは充分にあるようです。
子供達の行進は快調に続きます。時折、霧雨がパラパラするものの、そんなのは全然問題にならないようです(笑)。
山トレイルの途中で、面白い自然の造形を目にします。シェルケチョーロの方は石灰岩を多く含むので、崩れ落ちてきた岩盤は石灰岩が風雪で融け出した後、雲母層が残ってこのような形になったと思われます(注:私は地質学を詳しくは学んでいないので、本当のところは分からず、以上は推測です)。筋状の草の生えた部分は、この辺りは、夏場、トナカイの遊牧地でもあるので、トナカイの歩く道筋でこのようになったと思われます
シェルケヴァッゲに来た他の目的は、野生種蘭を観察することでした。娘が最近「野原に咲く、蘭を見てみたい」と言ったからです。蘭の写真は別途掲載すると思いますが、こちらは、偶然見つけたアルビノの釣鐘草(スウェーデン語では、ブロークロッカ(blåklocka)と呼ばれています)
写真中正面は、ヴァッシショッカの、周りの山崩れから取り残された岩盤。谷の方には大きな岩がごろごろしています。
とにかく、歩くことだけに満足できない息子(苦笑)。登れるところがあるとすぐに登り始める、煙と何とかは高いところを好むを地で言っております。
上の写真の続き。結構な高さのある丘ですが、息子には何のその・朝飯前。将来、山登りどころかロッククライミングを始めるのでは、と今から心配しております。
もうすぐ目的地、トロールフェーンです。でも、この通り、この氷河湖はヴァッシショッカ山が崩れてきて堰き止められたところに水がたまって出来たもの(だと思います)。
上の写真の続き。堰き止められたところの下流はこの通り。しかも、谷で一番標高が低く、転がっている岩を除くと、ちょっとしたデルタ地帯が形成されています。

トロールフェーンにて

フェーンとは、スウェーデン語で、湖の意味。従って、トロール湖となりますが、そう呼ばれる理由がちゃーんとあります。
この堰き止め湖(それとも、氷河湖?)には、プランクトン以上の高等生物はいません。プランクトンもいるかどうか分かりませんが、いても多岐に渡っていないと思われます。また、この湖に流れ込む水源は周りの山の頂上から滝となって落ちる水だけなので、それにはほとんど有機物が含まれません。冬でも底まで水が凍りつくので、とても魚などの高等生物は棲めません。
従って、有機物が極端に少なく、水の濁りがほとんどないので透明度は、30-40m近くあると言われています。

トロールフェーンが見えてきました!しかも、そろそろお腹も空いてきたので、湖のほとりに来たらランチです(私には、これが一番嬉しかった!お腹が既にペコペコ状態だったので:笑)。
遊び心のある誰かが、迷路(!?)を作っていました。子供達は当然試してみました、この通り。
陽も差してきて、気温も上がってきたので、湖のほとりについた子供達は早速服を脱ぎ捨てて、水浴び!。でも、この堰き止め湖は夏場でも10度以上の水温にはなりません。そのことは、すぐに子供達の知るところにはなりましたが・・・。(夫と私は、最初から水浴びする考えなんて、これっぽちもありませんでした、当然:笑)。
食事も終わり、トロールフェーンの辺りを”探検”です。まずは、天然の、石の回廊を見つけました。
岩が作った、湖に飛び出した、ちょっとしたです。雲がかかっている時だったので、湖の碧さはこの写真ではお分かりいただけないと思いますが、後で出てくる写真でそれは示します。
写真の中央に、娘が写っているのがお分かりでしょうか?湖のスケールはこの通りです。直径200mくらいでしょうか?
岩の重なりで出来た、天然の雨避け。こんな造形が本当にあちこちで見られます。
湖の周りの残雪を映した、トロールフェーン。
日が照ってきて、折しも風が止んだ時に撮影。湖の碧さと山肌の黄緑が混ざって何とも言えない色に変化しました。写真中央・水中に岩が見えているのがお分かりでしょうか?水深は、周りの岩の大きさから5m近くはあると思われます。ここよりももっと深いところが見えたのですが、写真ではちょっと分かり辛いかも。

再び、ロクタショッカに向けて

子供達は、心置きなく存分に遊んだので、復路にかかるであろう時間を考慮して、ロクタショッカ(駅)に向かうことにしました。乗車予定のバスは18時40分にE10を通過する予定。それまでにはE10に到着しておかなければ。しかも、子供達はトロールフェーンに着いてからも休む暇なく、遊び回っていたので、復路を歩き通せるのか?予測がつかなく不安でした。とにかく、時間にかなり余裕を持って(=4時間)トロールフェーンを後にしました。

谷間に、測候所があります。存在は知っていましたが、一度もそばまで行ったことがなかったので、復路はまず、この測候所を目指すことに。
測候所は閉まっていましたが、夫の話では「観測で人が詰める時には、ここのサウナを目当てに人がくることがある」とのこと。でも、サウナが入っていそうな建物はかなり小さいのですが・・・。左側の建物の反対側にサウナの入り口があると思われますが、この建物自体、かなり小さい。測候所の日当たりのよい場所では、ドイツ人ハイカー達が日光浴をしていました。
測候所をあとにして、ロクタショッカ駅を目指します。この山トレイルは、私達にとっては初めて踏み込むところ。でも、小さくてもなかなかに快適な小路でした。
谷底の、氷河時代の名残り。堆積丘があちこちに見られます。これは往路のトレイルからは分からなかったものです。

後記

結局、ロクタショッカ駅に到着したのは、バスが来る2時間前。子供達は何の問題もなく、復路も歩き通しました。親ながら「何てタフな子供達!」と感心しきりです。残りの2時間のうち1時間は、ヨートロン(hjortron, 英語でクラウドベリーと呼ばれているもの)やブルーベリーを摘んで時間潰しをしました。と言うのは、携帯した食料が既にここに到着するまでに底をついていて、家族全員、お腹が空きはじめていたからです。これは私の計算ミス。まぁ、そこそこヨートロンもブルーベリーも見つけられたので、次の1時間は何とか持ち堪えました。
バスには予定時刻の18時40分に乗車。キルナ到着は20時ちょっと過ぎ。道中、子供達は爆睡状態でした(笑)。ただ、バス中爆睡で再チャージアップしたのか、帰宅して遅い夕食(21時頃)をとった後も元気一杯。私は早起きがたたって22時には起きていられませんでしたが、子供達の相手を任された夫は、子供達と一緒に12時近くまで起きていたそうです(苦笑)。
・・・とにかく、天気にも恵まれ、とても良い、家族・日帰り山ハイキングになりました。


Back to J-HOME


Contact to: Sachiko Arvelius